十勝信用組合とのお付き合いについて、お話を聞かせてください

当社は、平成24年度に太陽光発電事業に参入したのですが、私はそれ以前より、太陽光発電の自然に優しく、ほぼ無限の自然エネルギーであるという性質に魅力を感じ、絶対に普及すべきだと思っていました。しかしながら、当時は、太陽光発電はあまり普及しておらず、設備投資の費用も高額だったので参入しにくい状況にあり、取引していた地方銀行や信用金庫などは融資に消極的でした。
そんな時、当時の十勝信用組合の幕別支店長と話をしてみると、同組合も太陽光発電の融資に興味を持ち始めたとのこと。支店長自身も自宅に太陽光発電を設置するとのことで、顔を合わせるうち、徐々に融資の話に進んでいきました。私は、個人的に太陽光発電の情報を収集していましたが、幕別支店長は信用組合でしか得られない情報を持ってきてくれましたし、相談にも数多く乗ってくれました。例えば、近隣の鉄工所の事業を譲り受けた際は、大変お世話になりました。もともと当社では、砂利プラントや重機車両の整備を自社で行っておりましたが、自社整備部門の強化、また太陽光パネルを設置する架台の製作も可能にすることを目指しておりました。そのため、高い技術力を持ちながら、廃業を予定していた、近隣の鉄工所の事業譲渡を進めていました。その際、同組合のサポートを受けたことで、円滑に事業を譲り受けることができました。
近年は電力の買取り料金が下がってきていますが、パネル本体の製造と電気工事以外は、自社ですべて製作、施工しているので、維持コストは低く、十分に利益を出せています。こうした組合の強力な後押しから、太陽光発電を事業として確立することができました。他の金融機関には融資できない案件でも親身になってサポートしてくれた十勝信用組合には大変感謝しています。今後も有益な情報を交換し合い、地域の発展に貢献できる関係を保っていきたいと考えています。

農業の分野にも進出されていますね

河川からの砂利採取が制限される河川法改正後は、砂利の採取場所は限られてきており、農家から農地をお借りして、その下に埋まっている砂利を採取する方法がメインになっています。しかし、砂利を採取した土地は、水はけが悪くなり、農地としての価値が下がってしまうため、農地からの砂利採取が難しくなりました。
このような現状から、農地を買い取って、自社で農業を営むことで、自らの農地から砂利を採取する仕組みを作りあげました。現在は二つの農地を保有しており、ジャガイモや小麦等の比較的手間のかからない作物を栽培しながら、10年計画で砂利を採取していく予定です。近年、農家の高齢化が進むとともに、跡継ぎがいない状況が増えてきており、当社がその受け皿となりたいという思いもあります。決して、砂利関連事業から手を引こうとは考えていませんが、業界全体として縮小傾向にあることは事実であるため、将来的に会社を安定して存続させていくための選択肢として農業分野に進出しました。

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御社の今後の展望を教えてください

約15年前、公共事業が激減したしわ寄せが砂利業界を襲い、同業他社との価格競争が激しくなり、ある骨材の1立方メートル当たりの単価が半値になったことがありました。当然、採算割れとなり、砂利業界の大手の倒産もありました。
こうした経緯から、値下げ競争による倒産を防止するため、骨材の共同受注、共同販売を行うことを目的とした十勝骨材共販協同組合の機能強化を業界全体で図ってきました。私は、現在、同組合の理事長を務めていますが、砂利関連の業務は、地域と密接に関わる地場産業であり、公共事業色が強く、自社だけが利益をあげ続ければよいというものではないと思っています。今後も、自社の安定的な存続を確保しつつ、いかにして同業他社や地域に貢献できるかを考えていきたいと思います。

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