オール電化厨房の導入の経緯を教えてください

社長 ガス厨房では、夏場は特に厨房内の温度、湿度の上昇が避けられないため「安心・安全な食事が提供できないか」と常日頃考えていたところ、出会ったのが電化厨房です。
セントラルキッチンを建設する時は、立ち上げメンバーの教育からスタートし、厨房設計会社や施工会社の担当者、保健所の方々も含め、何度も打合せを行いました。
約5年にわたり検討しましたが、その間は東京ビッグサイトなどさまざまなところへ出向き、食に関する展示会やセミナーには必ず出席して、勉強を重ねていきました。
安心・安全な食事の提供を実現させるため、HACCP方式や、置換換気空調システム、電化厨房機器を導入し、2010年にセントラルキッチンが完成しました。努力の甲斐もあり、2011年には電化厨房フォーラム21主催の「快適厨房コンテスト2010」で最優秀グランプリを受賞することができました。セントラルキッチン建設後には、さまざまな企業の方が見学に来ました。時には、大型バスで工場見学に来るところもあったほどです。

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オール電化厨房の利点はどのようなところですか

専務 オール電化厨房は、調理の加熱時間や温度を数値設定することで、いつでも同じ品質、同じ味に仕上げることができます。例えば、「焼く」、「蒸す」、「煮る」などの多機能がついているスチームコンベクションオーブンは、ノロウイルスやO157等が発生しない温度に設定しています。温度が同じであれば、違う種類の料理も一緒にオーブンの中に入れて調理することができます。同じオーブンに入れても、このオーブンの場合にはにおいが移ることはありません。
また、加熱調理した料理を一気に冷却するブラストチラーは、加熱後90分以内に芯温3度まで冷却することができます。これらにより、菌が増殖する機会を排除して衛生面のリスクを減らしています。「快適厨房コンテスト2010」では、厨房内の温度、湿度を一定に保つことによる従業員への配慮や、オール電化による環境配慮、給湯設備等の夜間電力の使用、照明器具のLED使用等が評価されました。また、セントラルキッチンは既存の建物をリノベーションしているため、建築廃材を多く出すことなく、環境保全に貢献するとともに、投資コストを抑えたことも高く評価されています。

HACCP認定において、どのようなところに苦労されましたか

専務 HACCPのシステムを維持していくことが大変です。当社の厨房は作業エリアを工程ごとに完全に区分し、従業員のエリア間移動を制限しているため、従業員がそのルールに慣れるまでに時間がかかり、苦労しました。
三田哲也常務(以下、常務) 例えば、トレイを置いてはいけない場所があることや、この時間まではここで作業できるが、この時間はこの場所を使ってはいけないなどの細かいルールがいくつもあるため、このようなルールを徹底し、HACCPシステムを守っていくことがとても重要であり、大変なことでもあります。

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やりがいを感じるのはどのような時ですか

専務 現場で働いていると、利用者から「美味しかった」など色々な意見をもらえることや、私たちが給食を作りに行くことを利用者が楽しみにしてくれているところにやりがいを感じています。
常務 「ミールフローエにしたら食べ残しが少なくなった」とのお褒めの言葉をもらったこともあり、利用者の声を聞けることが一番嬉しいことです。
社長 経営を担う者としては、利用者が喜んでいると聞くことが一番嬉しいです。
 現在は、既存のお客様から新規のお客様を紹介してもらうことで取引が広がっていますので、ほとんど営業らしい営業は行っていません。セントラルキッチン建設前の当社の厨房は、お客様に見せられる厨房ではありませんでしたが、現在の厨房は実際に見てもらい、試食してもらい、安心してもらうことで、商談で視察にいらしたお客様には100%近く取引を開始してもらっています。