宿毛建材を創業されたきっかけを教えてください

会長 当社を創業する以前は、知人の経営する建材店で働いていました。当時、ガソリンを運搬するタンクローリーの運転手をしていましたが、大工である知人からの「建材店を始めるから仕事を手伝ってほしい」という誘いを転機に、この業界へ入ることになりました。
知人の建材店では3年ほど、雇われ店長のような形でお店を任されていました。しかし仕事を続けるなかで、「この店でこれ以上、売上を伸ばしていくのは難しい」と限界を感じはじめたのです。その理由は、この店が「大工が経営する建材店」だったことにあります。大工さんの中には、ライバル意識からか、「大工が経営する建材店」というだけで、建材や資材を仕入れることに強い抵抗感がある人もいました。そのため、新たに販路を広げるのは非常に困難でした。
そこで初めて、同じように苦労をするなら独立して自分の店をやりたいという思いが湧いてきました。そしてなにより、「今のお店(大工が経営する建材店)からは仕入れたくないが、上岡さんが独立したらそこから仕入れたい」という大工さんたちの強い後押しもあり、32歳の時に一念発起し、知人の会社を辞めて「宿毛建材」を立ち上げました。

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創業時に苦労されたことはありましたか

会長 宿毛市内には、当社が創業する以前からいくつかの建材店がありました。創業して間もないころ、そうした同業者から取引先メーカーに対して「宿毛建材に商品を卸すなら、うちは取引をやめる」など、圧力をかけられたこともありました。
他社と同じことをしていては負けてしまう。そう考え、始めた取組みが大工さんの「家建て(=上棟)」の手伝いでした。「家建て」とは、住宅を建てる際の骨組みづくりのような作業です。高所での作業であり、大工さんにとっては大変な作業でした。当社は大工さんへの営業も兼ねて新築工事をしている現場に赴き、「家建て」をする際には、補助として工事の手伝いを行いました。そうした営業活動を地道に続け、年間40軒ほど「家建て」の手伝いを行ったこともあります。
そうすると、次第に大工さんとの信頼関係が構築されていき、地元の大工さんの間でも「宿毛建材」の評判が広がっていきました。それに伴い、建材の受注も徐々に増えていき、同業者から圧力を受けることもなくなっていきました。

従業員の福利厚生の充実にも積極的に取り組まれているとお聞きしました

会長 従業員が喜ぶようにするということは、会社が良くなっていくということだと思います。そのため、個人事業主の時代から、商工会の担当者にもいろいろとアドバイスをもらい、従業員の福利厚生面についてはしっかりと取り組んできました。また、これからは「働き方改革」への対応もしていかなければなりません。
この地域において、「宿毛建材は最高の会社、働き甲斐のある会社である」というようにしていかなければならないですし、それがこれからの社長の責任でもあります。そのためには、会社に多くの利益を残すという考え方ではなく、従業員への還元、お客さんへの還元を行い、みんなが幸せになるという考え方をしていかなければならないと思います。
そうすることがひとつの地域貢献にもなりますし、結果的には良い人材の確保にもつながると考えています。

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