SHINKUMI PEOPLE: (写真:左から上岡良水会長、上岡良和社長、浜田係長(宿毛商銀信用組合))
インタビュー・構成 全信組連広島支店

四国の西南端に位置する高知県宿毛市。株式会社宿毛建材はこの地で創業し、2020年5月に創業40年を迎えた建築資材の卸売業者である。
宿毛市周辺の建材業者では唯一、ショールームを構え、「家づくり」に関するあらゆる情報を提供。時代の流れとともに変化するニーズに対応しながら、地元工務店や大工とともに、お客さんに喜んでもらえる「家づくり」に取り組んでいる。創業者である上岡良水会長、そして、2018年11月の法人成りとともに、事業を引き継ぎ社長へ就任した上岡良和社長にお話を伺った。

株式会社宿毛建材の事業内容について教えてください

上岡良和社長(以下、社長) 当社では、建築資材を地元工務店や大工さん向けに販売しているほか、一般のお客さん向けの住宅リフォームの請負、システムキッチン・ユニットバスなどの取付工事を行っています。
上岡良水会長(以下、会長) 創業した当初は、建材の卸売をメインで行い、木材や床材、銘木も多く取り扱っていました。当時は「家の柱は桧でないとダメ」というような「木」へのこだわりを持つお客さんが多くいたからです。しかし、時代の流れとともに、若い世代を中心に「木」への関心が薄れ、現代では「床の間」のない家も増えてきています。「家づくり」に快適さや機能性が求められる時代に変わってきたのです。
当社も時代の変化に対応していくため、20年ほど前から宿毛市や幡多郡周辺の建材業者では唯一、ショールームを展開しています。お客さんにシステムキッチンやユニットバスなどを実際に見てもらいながら、私たちが製品の特性などの説明をすることによって、商品の快適さをより実感してもらえるようにしました。
通常、メーカーが展開するショールームではその企業の製品しか見ることができません。しかし当社のショールームであれば、さまざまなメーカーの商品を見ることができ、比較することができます。大工さんがお客さんを連れてきて、一番合ったものを選ぶことができるのです。

sukumokenzai_4.jpg

リフォーム事業も行われているんですね

会長 近年では、家電量販店やホームセンターなどもリフォーム業界へ参入してきています。彼らは営業しながらリフォーム工事の受注を取っていくスタイルですが、地元の工務店や大工さんの多くは、営業があまり得意ではありません。そのため、当社が代わりに営業をすることにより、元請として受注した仕事を地元工務店や大工さんに外注するようにしています。そうすることが地元工務店や大工さんへの支援になり、地域への貢献にもつながると考えています。

地元の工務店や大工さんを集めて、勉強会を開催されているとお聞きしました

会長 先日も、宿毛商銀信用組合の会議室を無償で提供してもらい、勉強会を開催しました。
25年ほど前、「地元工務店とともに頑張っていこう」という思いから、地元工務店や大工さんを会員とする「共栄会」を設立しました。それ以来、継続的にこうした取組みをしています。今は9名の会員とともに活動を行っており、年に3回程度勉強会を開催しているほか、以前はメーカーの工場見学や展示会見学にも行きました。
勉強会では、「家づくり」に関する幅広いジャンルからテーマを選んでおり、最近では「次世代住宅ポイント」や「住宅給付金制度」などをテーマに勉強会を行いました。なるべく旬な情報・トピックスを選び、いち早く情報を提供できるようにしています。この取組みには、取引先メーカーも協力してくれており、講師の派遣などをしてもらっています。
以前は大工さんの腕が良ければ、「1年待ち」、「2年待ち」というように仕事が取れた時代でした。しかし、今ではハウスメーカーやビルダーの進出により、地元の工務店や大工さんの仕事が奪われつつあります。例えば、2018年には宿毛市では55軒の新築住宅が建ちました。しかし、地元の工務店はそのうちわずか10軒しか受注することができませんでした。
最近はインターネットや展示会で情報を簡単に得ることができ、「家づくり」に関する知識を持つお客さんが増えてきています。そうしたなかで、情報や知識のない工務店や大工さんではお客さんの要望や希望に応えられず、仕事をハウスメーカーやビルダーに取られてしまいます。そういったことを防いでいくために、当社が地元工務店や大工さんの先頭に立ち、こうした取組みを行っているのです。
また、仕事が奪われることで職を失い、大工さんの数が減ってしまうことも、建築業界全体として非常に心配なことだと考えています。例えば大地震が起きたとき、家を建てる大工さんの数が少なければ、それだけ復興が遅れてしまいます。貴重な文化も失われてしまうかもしれません。そういったことを考えると、今後大工さんの数をこれ以上減らしてはならないのです。

sukumokenzai_5.jpg