SHINKUMI PEOPLE: (写真:山元陸雄社長)
インタビュー・構成 全信組連大阪支店

日新産業株式会社は1974年の創業以来、金属および樹脂を素材とした試作品を作り続けている。毎月継続して10社近くの新規取引先を獲得しており、今期の納品実績は180社を超える。 試作品製作は経験豊かな技術者が受注ごとに専任で担当する。製作工場には多種多様な製造機械を揃えているほか、専門技術を持つ協力会社とのネットワークにより、品質の高い試作品を短納期で製作できる。 創業者である父から会社を継ぎ、2008年に2代目社長に就任した山元陸雄氏にお話を伺った。

日新産業株式会社の事業内容を教えてください

金属および樹脂製の試作品製作を専業で行うメーカーです。試作品とは新商品を本格的に生産する前に不具合がないか確認する目的で作られるもので、家電、自動車をはじめとしたさまざまなメーカーから持ち込まれた設計図を基に短納期で試作品を作っています。

試作品の製作のみを専業としている企業は珍しいですね

ほかにあまりないと思います。多くのメーカーはいわゆる量産工場で、完成した設計図を基に「これをいつまでに何個」といった注文で企画者の指示どおりに製品を大量生産する業態が多いです。試作品製作は、そのような量産工場を持つメーカーが業務の一環として無償で引き受けている場合が昔は多かったですね。この取引先から「ついでに」で頼まれていた試作品製作を事業にしたのが私たちです。私たちは創業当初から現在まで一貫して試作品製作のみを行っています。

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日新産業株式会社の社名の由来を教えてください

 「日々新たに」という意味を込めて父が名付けました。また、「産業」という言葉を使った理由は、私たちの会社の行く末を単なる素材の加工屋だけにとどまらず、何でもできる企業にしたいという気持ちがあったからです。

創業者は山元社長のお父様でいらっしゃいますね

父が創業者で、私が2代目です。創業前、父は自動車メーカーの営業関係の仕事をしていて、知り合いの技術者たちに声を掛けて日新産業株式会社を立ち上げました。腕に自信のある技術者が独立して自分の会社を立ち上げるといった話はよくあるかと思いますが、当社の場合は少し違います、父は技術者ではありません。
また、父のこだわりは少数精鋭で、取引先からの依頼に迅速に応えられる従業員を自分の管理できる人数だけ雇って、最大限の価値を創造することでした。当時、父は全社員の給料を時給換算し、手帳に書き込んで把握していたそうです。社員の働きぶりはしっかりと計算して給料に還元するというのが私たちの方針で、従業員にとって透明性のある会社経営を心掛けており、これは今日まで続いています。

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