SHINKUMI PEOPLE: (写真:左から佐々木経営戦略室長、桑島社長、斉藤支店長(釧路信組清里支店))
インタビュー・構成 全信組連事業法人部

世界遺産〈知床〉の玄関口〈ウトロ〉に、三つのホテルを展開する「知床北こぶしグループ」。ラグジュアリーな「北こぶし知床ホテル&リゾート」とファミリーでも楽しめる「KIKI知床ナチュラルリゾート」、旅を楽しむ玄人向けの「夕陽のあたる家 Onsen Hostel」の3館体制により、ウトロ全体をネイチャーリゾートとするべく、さまざまな取組みを進めている。
世界遺産の土地ならではの非日常的な景勝と体験を提供する、同グループの桑島大介社長と経営戦略室の佐々木晃也室長にお話を伺った。


「知床北こぶしグループ」について教えてください

桑島大介社長(以下、社長) 私の祖父が宿を営んでいたのが当グループの始まりです。曾祖父が香川からウトロに営農入植したのが100年ぐらい前。しだいに農業だけでは食べていくのが難しくなり「宿もやろうかな」と。昭和35年に「知床グランドホテル」(現「北こぶし知床ホテル&リゾート」。以下、北こぶし)が開業しました。
祖父には弟がいて、「夕陽のあたる家(現「夕陽のあたる家 Onsen Hostel」。以下、夕陽のあたる家)を経営していましたが、時の流れのなかで11年前に当グループに加わりました。それから6年前には知床プリンスホテル(現「KIKI知床ナチュラルリゾート」。以下、KIKI)がグループに加わってくれて、現在の3館体制の「知床北こぶしグループ」が完成しました。

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知床の観光について教えてください

社長 ウトロの観光客数は、毎年45万人ぐらいです。知床が世界遺産に登録された時がピークで、それ以降は徐々に減少しています。
北海道全体ではインバウンドが増加していて、ウトロでもその傾向がありますが、逆に日本人観光客は減っています。集客は難しくなっていますが、当グループでは連泊されるお客様が非常に増えています。知床半島では、ウトロと羅臼が有名ですが、ウトロを拠点に羅臼まで足を伸ばすお客様が増えているようです。ウトロでネイチャーガイドツアーに参加して、羅臼でホエールウォッチングをする。それぞれに良さがあって、連泊をする魅力がある。知床の圧倒的な自然遺産は、なかなか他所にはないものですから、その部分は大きな強みです。そういう意味では、当社の目指す「北のリゾート」というコンセプトは、徐々に浸透してきているのかな、と感じます。

旅行のトレンドが変わってきたのでしょうか?

社長 昔の北海道は、団体でバスに乗って道東周遊観光というのがメインでしたが、それが変わってきています。個人のお客様が増えていて、周遊ではなく、滞在という流れがあります。それに合わせて当社では、北こぶしとKIKIに一泊ずつ宿泊してもらう2泊3日のプランも組んでいます。グループのメリットが生かせています。

流氷が有名と聞きました、滞在中どんな体験ができるのでしょうか?

社長 流氷は、ウトロが日本一ですね。オホーツク海を旅してきた流氷が、ウトロの海を埋め尽くす光景は、まさに圧巻です。「流氷ウォーク」というアクティビティがあって、ガイドさんと一緒に流氷の上を散歩することができますが、これができるのはここだけじゃないかな? 私も何度か体験しましたが、これが楽しいんです(笑)。流氷のシーズンは2月で、その時期は海外からのお客様もたくさん来てくれます。夏にもアクティビティがあります。船に乗って知床岬を周遊するのですが、目当てはクマです。海岸まで鮭をとりに来たクマを(時期によっては)98%の確率で見ることができます。私が見れなかったことは一度もないですね!
そのほかにも天然の温泉で遊ぶことができる「カムイワッカ湯の滝」などもあって、夏もいい体験ができます。
斉藤釧路信組清里支店長(以下、支店長) 秋には、鮭を釣りに来るお客様もいらっしゃいますね。ウトロは、鮭の水揚げが日本一ですから、一度は釣ってみたいと思うようです。釣り人が海岸沿いに並ぶ姿は、秋の風物詩です。
社長 私は、観光協会にも所属していますが、知床のブランディング事業にも力を入れています。「知床トコさん」というクマのキャラクターを発信しているのですが、なかなか可愛くて人気です。アパレルブランドの「THE NORTH FACE」とのコラボレーションもやっていて、若い人への知名度アップにつながればと思っています。

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