SHINKUMI PEOPLE: (写真:斉藤社長)
インタビュー・構成 全信組連札幌支店

㈱斉藤砂利工業は、創業より70年以上、一貫して砂利に携わってきた会社である。
同社は、長年の経験で培った技術力や豊富な知識のもと、良質な砂利を製造し、建設工事現場やコンクリート工場などに提供することで、地域の発展に貢献してきた。近年は、事業環境の変化に合わせ、太陽光発電事業や農業分野にも進出している。同社を祖父、父から受け継ぎ、同社の三代目社長に就任して11年目となる斉藤悟郎氏にお話を伺った。

御社の事業内容を教えてください

私が社長を務める㈱斉藤砂利工業は、自社で砂利を採取し、その砂利をさまざまな用途に応じた製品へ加工したうえで、建設会社などに販売・運搬している会社です。
砂利は、一般の消費者にはあまり馴染みがないと思いますが、さまざまなところで使用されています。例えば、コンクリートやアスファルトの原材料として使用されており、私たちの生活に欠かせない道路や橋、トンネルなどのインフラ整備に採用されています。当社の提供する砂利が、地域の安全・安心を支えてきたと自負しています。

saitofactory_4.jpg

砂利はどういった場所で、どのように採取するのでしょうか

北海道の十勝川水系には、十勝平野を潤す大小200を超す河川が流れ込んでいますが、当社では、十勝川と札内川流域に眠っている砂利を採取しています。40年ほど前までは、河川から砂利を採取していましたが、河川法の規制により、大昔、河川だった場所から採取するようになり、近年では、砂利を採取できる場所が枯渇してきたため、農家から農地をお借りして、その地下に埋蔵している砂利を採取しています。
砂利の採取方法ですが、当社では、「ドラグライン」という巨大な重機を用いて採取しています。この重機は、パワーショベルとは異なり、自らの足元を掘削しないことから、安全かつローコストでの掘削に適しているほか、水底の掘削に最もその能力を発揮します。現在、北海道では唯一当社のみが稼働させて砂利を採取しています。

採取した砂利は、どのように製品化していますか

当社では、採取した砂利を製品化するため、製造プラントを2ゕ所所有しています。まず、採取した砂利をプラントに投入し、砂利を粒の大きさごとに選別し、必要に応じて破砕、研磨した後に、洗浄作業を行います。これらの工程を経ることで、所定の粒度・規格に適合した製品を作っており、土木業界ではこの製品のことを「骨材」と呼んでいます。
当社では、製造工程がほとんど機械化されているため、プラントの常駐者は5名ほどですが、一日にダンプ100台分に相当する、約700立方メートルの骨材を生産しています。当社の骨材は、凍害に強く、高機能で綺麗であるとの評価を受けており、数多くの建設工事現場、コンクリート工場、アスファルト合材工場等で採用されています。

saitofactory_3.jpg

製品の運搬は自社で行っているとお聞きしました

当社では、他社との差別化を図るため、機動力に力を入れており、自社で生産した骨材は、自社所有のダンプトラックでお客様のもとへ、迅速に届けることを心掛けています。当社では、お客様からの信頼を得るために、急な注文であっても、迅速に対応できるよう、待機させている車両が常に数台ある態勢を取っています。人手が足りない時は、社長である私もダンプトラックを運転してお客様のところへ納品します。平均的な受注量以上の車両を保有することは、コスト面で無駄が多いという考え方もありますが、災害時の道路整備など、緊急時であっても対応できる会社という信頼感を醸成するためには、必要なコストであると思っています。